Beastmakerぶら下がり時間アンケート結果Part3
Part1、Part2からの続きです。今回は懸垂回数とグレードの関係を確認します。Part1、Part2を見ていない方は先にそちらを見ていただくと理解が早いと思います。
全体の傾向
Part2と同様に、まず限界RPグレードとの関係を例に確認していきます。
緩やかな右肩上がりで、概ね14mmエッジと似たような傾向に見えます、同一回数の懸垂ができる人の間でも大きくグレードがバラつく結果になりました。そして、統計的な観点で言うと、P値が0.3で有意水準5%を満たしませんでした。つまりデータからは、懸垂回数とRP限界グレードの間の相関があるとは言い切れない結果となっています。
目立つ点としては、グラフの丸で囲んだあたりで、ハイグレードの人の懸垂回数は15〜20回くらいにあり、それ以上の30回くらい懸垂ができるグループでも、グレードには直結していないように見える点です。仮説として、懸垂のような垂直方向の引き付け力は、一定以上の力があれば、それ以上はグレードに寄与しない可能性がありそうです。
クライミング嗜好でグループ分け
Part2と同じく、ボルダリングしか行わないグループ(A:回答数30)とそれ以外のグループ(B:回答数19)で分けて分析します。
14mmエッジのぶら下がり時間よりさらに傾向は顕著で、Aグループでは相関がほぼ見られない結果になった一方、Bグループでは相関係数の5%水準を満たしており、相関がありそうという結果になっています。AグループとBグループを合わせた全体のデータにて相関が見られなかったのは、Aグループの結果に引きずられている可能性が高いです。
全体ではこれも仮説ですが、ルートクライミングでは、上方向に引きつける動作を延々と繰り返すことが多いため、より強く相関が出ている可能性が考えられます。
相関関係と因果関係
今回、懸垂回数とグレードの相関を確認してきましたが、因果関係までは言及できていない事は注意が必要です。懸垂回数が多いから高グレードが登れるのか、高グレードが登れる人は懸垂回数が多いのかは、データからだけでは判断できません。これはPart2の14mmエッジぶら下がり時間についても同様です。
とはいえ、フィンガーボードや懸垂は数十年にわたり過去のクライマーが行なってきた基礎トレーニングですし、クライミング動作に近しい動きのフィジカル数値なので、経験則としては一定の因果関係があると考えていいでしょう。
終わりに
アンケート結果の分析は以上です。データから読み取れたのは、経験的にわかっている内容の裏打ちが多かったですが、具体的な数値で確認できたのは面白かったです。ご協力いただいた方々、どうもありがとうございました!
アンケート集計のデータは、生データのみ、googleスプレッドシートで公開してみますので、興味のある人は是非いじってみてください。管理人のスキルではわからないことも、統計スキルのある人が見たらわかることがあると思います。
以上
参考資料
オンサイト等のグレードとの相関
今回も参考として、RP限界グレード以外のグレード申告との関係グラフを載せておきます。全体的な傾向と概ね同じようです。
1日トライしてできたRPグレード
フラッシュできた最高グレード
コンスタントにフラッシュできるグレード
相関検定の諸数値