肩のリハビリの記録(後編)
前回は、肩のリハビリの記録として、管理人の肩の症状・診断結果・治癒までのタイムラインなどを紹介しました。今回は、具体的に行ったリハビリ内容や、リハビリ終了後も故障予防のために継続しているエクササイズを紹介します。各エクササイズの理論的な背景に踏み込むと長くなりすぎるので、どんなエクササイズを行っているかという点に絞って説明します。
前回の記事をご覧になっていない方はこちらをどうぞ。
整形外科受診中のリハビリメニュー
スポーツ整形には、初回と最終回の診察も含めて、1週間から2週間に1度のペースで、合計5回リハビリに通いました。リハビリでは徒手でのマッサージやストレッチを肩まわりに施され、可動域の改善状況を確認してもらいましたが、基本的には指示されたリハビリメニューを毎日自宅で継続することで、症状を改善していきました。
リハビリメニューは、痛みがなくなることを目標として、以下二点をポイントに指導されました。
- 肩甲骨の可動性改善
- 後方組織の硬さ改善
具体的なメニューを以下に記します。それぞれリハビリ期間中は1日3セットで15分程度、リハビリ完了後は1日1セットで5分程度をデイリーケアとして継続しています。
前鋸筋トレーニング
前鋸筋は脇の下の筋肉で、エクササイズ内容は、柔らかいボールを壁に押し付けて、肩を起点に細かく回します。今回特に筋力バランスがよくないと言われた所は此処でした。
Shoulder: Serratus Ball On Wall
僧帽筋トレーニング
腹這いになってから腕を上げてY時に開き、床から腕を持ち上げます。最初は絶望的にできませんでしたが、慣れたらできるようになりました。
【少年野球トレーニング】手軽に肩・肘のインナーマッスルを鍛えるエクササイズ
肩甲胸郭関節のストレッチ
体を横にして寝転がり、膝を曲げた状態で腕を頭の後ろに当てて、背中を丸めるのと胸を開くのを繰り返します。 動画では両腕とも頭の後ろに当てていますが、体の下になる側の腕で膝を押さえて浮かないようにするとやり易いです。
キャット&ドッグ
ヨガでよく行うポーズで、肩甲骨、脊柱、股関節を連動させて動かします。
コブラストレッチ
うつ伏せになって両腕を広げ、肩甲骨を寄せながら胸を起こしていきます。
クライミングのフォーム改善
クライミングのフォームというと考慮事項は全身多岐に渡りますが、ひとまず自分なりに理解して実行できそうな範囲として、ぶら下がる姿勢の改善から始めました。先日ロストアローから翻訳版の記事が提供された、以下の記事を参考に実施しています。
内容は一言で言えば、ぶら下がる際には肩の力を抜かず肩甲骨を下げた状態に保つ、ということになりますが、その状態を実現するための具体的な各関節の向きや位置がわかりやすく解説されています。この記事のガイドラインに従って、ハングボードでのぶら下がり姿勢を徐々に矯正して、2か月くらいで満足のいく姿勢になりました。
自分がハングボードやバーにぶら下がっている姿を動画や写真で確認してみると、思ったより理想のハング姿勢になっていないことが多いのではないでしょうか。管理人の場合は、上記の記事の内容をしっかり意識してぶら下がっているつもりなのに、写真で見ると左手の肘の方が曲がっていてアンバランスになってたりしました。
このような基本的なぶら下がり姿勢で肩甲骨の位置を意識することで、普段のクライミングにおいても良い姿勢を意識することができるようになってきました。意識していないと、肩がすくんだ状態で腕を引き付けてしまうことがよくあったのですが、最近減ってきているように感じます。
日常のメンテナンス
リハビリ完了後も、肩まわりの可動性を継続して確保できるように、日常のメンテナンスを継続しています。先に述べたスポーツ整形で指導されたメニューに加えて、以下のボルダリング体操を行っています。合わせて1日15分程度です。
ボルダリング体操
ボルダリング体操は、ボルダリングの整体院の山田さんが提唱する、クライマーのための、体がほぐれるエクササイズです。詳細は以下のリンクを参照ください。
上半身のメニュー(1.かかとトントン~7.手のひらニギニギ)について、毎日1回は行うようにしています。7~8分程度です。毎日行うことにより、日毎の体のこわばり具合の変化を感じることができます。例えば3.腕ブラブラは、片方の腕でもう片方の腕のほぐしたい部位を触りながら腕をブラブラするのですが、凝っていない部位ではスムーズにブラブラできるのに、凝っている部位ではブラブラの動作がギクシャクしてすぐわかります。
クライミング前のウォームアップ
故障以前は、簡単なグレードのクライミングがウォームアップ代わりでしたが、これ以上故障を増やさないように、クライミング前のウォームアップを行うように改めました。
ボルダリング体操でもウォームアップに十分と思うのですが、毎日やってますし、せっかくなので別のエクササイズをと思い、以前の記事で紹介したDr. Jared Bagyのウォームアップルーティンを行ってます。ポイントは、クライミングの代表的な動作で必要となる可動域まで各関節を動かすダイナミックストレッチで、慣れてくると5分程度でできます。
これらのダイナミックストレッチに加えて、同じくDr. Jared Bagyが推奨しているのが、「拮抗筋のアクティベーション」です。やり方は以下のリンクに記載されていますが、長いセラバンド(3メートル程度)を体に巻いてから最後に両腕を開くようにして30秒程度静止します。これをウォームアップの仕上げに行うことで、クライミングで使用する筋肉と拮抗する筋肉群が刺激されます。見た目がファニー(パーデンネンみたい)なので、ジムや岩場で要らぬ注目を浴びますが、鋼の精神でやり切りましょう笑。
Dr. Jared Bagyの著書「Climb Injury Free」は以下の記事で紹介していますので、こちらも参考にしてください。
まとめ
肩の故障について、リハビリ内容とその後のデイリーケアをご紹介しました。
正直、管理人のクライミング強度や頻度はそれ程高い方ではないと思っていましたし、それ程ひどい故障もなく20年クライミングを続けてきたのですが、40を過ぎて肩・指を中心にガタが来ています。振り返ると、強度や頻度は程々だった分、故障が顕在化するのは遅かったものの、悪い姿勢や不十分な可動域によって蓄積した疲労や損傷が一気に噴き出してきている印象です。
生涯スポーツとしてクライミングを楽しんでいくため、肩については、以下2つを意識して、故障を再発しないように取り組んでいきます。
- デイリーケアの継続、ウォームアップの習慣化により、可動域をしっかり確保する
- 肩甲骨を下げたよい姿勢で登ることを習慣づける