クライミングの動作練習を動画で振り返るフォームチェックアプリ
以前のブログ記事で紹介した書籍Logical Progressionでは、トレーニングのピリオダイゼーションに加えて、Practice=練習についても一節を割いて方法論を解説しています。
その中で、自分のクライミングフォームをチェックするために、専用のアプリを使用する事が推奨されていました。いくつか試してみて、なかなか便利だったので、解説します。
「Practice=練習」の構造
Logical Progressionによると、クライミングに限らずあらゆるスキルスポーツにおいては、以下のようなサイクルを回していくことで、効率的にスキル習得ができると説いています。
- Practice まず新たなスキルにトライしてみる
- Feedback やってみた結果、直した方がよいところについてフィードバックを受ける
- Do over (using the feedback) フィードバックを意識して、もう一回やってみる
- Possibly do it multiple times 必要に応じて、何回かやってみる
- reflect 客観的な内省を行う
この中でも、2のFeedbackが最も大事な工程であると強調しています。間違った動きで練習を繰り返したら、間違ったムーブが身についてしまうからです。コーチや上級者に見てもらってアドバイスを受けるのが理想なのですが、次善の策として、動画を見てセルフで振り返りを行う事も推奨しています 。
フォームチェックアプリでできること
よいフォームの習得は、多くのスポーツにおいて重要な関心事です。そのため、動画に撮った動作に対して、スローモーション再生や比較再生して、振り返りを効率的に行えるアプリが多くリリースされています。
主な機能はどのアプリも似通っています。主なメリットは以下の2つです。
- 操作性の良さ(再生位置や再生速度の変更が行いやすい)
- 2つの動画の比較が簡単にできる
- 動画に対する書き込み、印付けができる
イメージは、以下のInstagram動画のようなものです。
操作性の良さ
自分のクライミング動画をチェックしようとする際に、気になる動きを何度も繰り返しスローモーションで見たくなることはないでしょうか。フォームチェックアプリでは、指のフリック動作による再生位置の変更がとても滑らかで、快適にスローモーション動作の繰り返しチェックができます。iphoneの標準カメラアプリでも近い事はできますが、操作感は専用アプリの方が圧倒的によいです。
2つの動画の比較
ある動作について、何度かトライして改善しているか、動きの差分をチェックするために、2つの動画を1画面に並べることも簡単にできます。それぞれの動画のスタートタイミングがずれていても、調整も簡単です。
動画に対する書き込み、印付け
これは個人で利用するより、コーチが選手にフィードバックする際に有効な機能と思いますが、動作の中で気になる動きに丸印を付けたり、線を引いたりすることができます。また、オプションで、各関節の角度を表示することができるアプリもあります。
フォームチェックアプリの種類
以前は買い切りの有料アプリであるCoach's Eyeを使用していましたが、残念ながら売り切り形式の販売は終了し、高額の月額課金制になってしまいました。
その他にも手軽に無料で使えるものがいくつかあるので紹介します。どのアプリも、無料版では、比較動画を保存する機能に制約がありますが、自分の動画を振り返るだけであれば無料版で充分です。
Onform
こちらは英語アプリですが、使いやすく気になりません。App storeでの評価も高く人気があります。スローモーション再生は1/2,1/4,1/8倍速の3種類のみとなっています。
編集した動画を書き出すときに、モーションキャプチャ機能が使えるようになっている必要があります。スマホを仕事でBYOD利用したりしていると、モーションキャプチャできなくする制限がかかっていたりする事があるので、その場合は動画の書き出しはできません。
ウゴトル
こちらは日本語のアプリです。日本語マニュアルもあるので、使いやすいです。再生速度は0.1〜4.0倍速まで、0.1刻みで調整できますし、動画の比較もできます。
無料版では動画の書き出しができず、静止画でしか書き出せません。
MultiVideo
こちらも日本語のアプリです。少し操作性にクセがありますが、マニュアルを読んで慣れれば、機能は充実しています。ウゴトルと同じく、無料版では動画の書き出しができません。