9c Ultimate Climbing Testの紹介

9c Ultimate Climbing Testをご存じですか。これは懸垂やハングボードなど、複数のクライミングに関連する体力測定結果を元に、クライミンググレードを推定するテストです。2020年11月に、マグナス・ミトボ(ノルウェーのクライマー・YouTuber)が動画を上げてから評判になり、ワイドボーイズのピート・ウィタカーを含む多くの海外YouTuberが、チャレンジ模様の動画をアップしています。


The strength you need to climb 9c // The ultimate climbing test

 

必要な器具は以下の3点です。ウェイトが身の回りに無いことが多いかもしれませんが、運よく揃っている方は話のタネにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

  • ハングボード(20mmのエッジがあるもの)
  • 懸垂できるバー
  • ウェイト(重り)

テストの概要

このテストを考案したのは、2020年に発売されたクライミングレーニング教本の「The Climbing Bible」を著した、Martin MobråtenとStian Christophersenの2人です。2人はマグナスと同じノルウェー人で、ノルウェーのクライミングチームをコーチしている際に、同じような内容の体力テストを行っていました。それをマグナスと共にアレンジし、テスト結果の点数をクライミンググレードに換算するようにしたのが9c Ultimate Climbing Testです。

仮に完璧なテクニックでルートを登れるとしたら、どれだけのグレードのリードルートが登れる体力的ポテンシャルがあるかを推定するという立て付けです。しかし、テスト結果とクライミンググレードの相関は、統計的な裏付けはないとのこと。ですので、結果に一喜一憂せず、飽くまでお遊びとして楽しむのがよいと思います。

(ちなみにマグナスの結果は35点=5.15a、過去の最高グレードは5.15bで、たまたまよく一致してます。管理人は11点=5.12aで、過去には5.13を一応登れたこともあるので、余り一致してない印象でした。) 

テスト項目

テスト項目は、以下の4項目です。

  1. 指の保持力
  2. 懸垂の力
  3. 体幹の力
  4. 持久力

それぞれの結果によって0~10点の点数が与えられ、合計点(0~40点)により、あなたがどれくらいのグレードのリードルートを登れるポテンシャルがあるかを評価します。1点だと5.10a、40点だと5.15dといった具合です。

1.指の保持力

まずは指の保持力です。測定にはウェイト(重り)と20㎜のエッジがあるハングボードを使います。ハーネスを装着してウェイトを付け、ちょうど5秒程度ぶら下がれる重量を見つけます。体重+ウェイトを足して、その数字を体重で割って100をかけた数字(パーセント)を算出して、点数に換算します。

例えば体重65kgで10kgのウェイトをぶら下げてちょうど5秒ぶら下がれる場合、( ( 65 + 10 ) / 65 ) * 100 ≒ 115% なので、換算表から2点となります。

 

【換算表】

1点 = 100%
2点 = 110%
3点 = 120%
4点 = 130%
5点 = 140%
6点 = 150%
7点 = 160%
8点 = 180%
9点 = 200%
10点 = 220%

 

2.懸垂の力

続いて懸垂の力です。測定には懸垂できるバーとウェイトが必要です。ハーネスを装着してウェイトを付け、ちょうど1回懸垂できる重量を見つけます。反動をつけるのはNGです。

「1.指の保持力」と同様に、体重+ウェイトを足して、その数字を体重で割って100をかけた数字(パーセント)を算出して、点数に換算します。

 

【換算表】

1点 = 100%
2点 = 110%
3点 = 120%
4点 = 130%
5点 = 140%
6点 = 150%
7点 = 160%
8点 = 180%
9点 = 200%
10点 = 220%

 

3.体幹の力

次は体幹です。体幹は、バーにぶら下がった状態で体勢を保持する3つのエクササイズについて、体勢を維持できる秒数を測定して、点数に換算します。

Lシットは、バーにぶら下がって腰から足を上げて水平に保つエクササイズです。膝を曲げると少し楽になります。イメージが湧かなければ、冒頭の動画(24:20あたり)を見てもらえればわかります。

 

【換算表】

Lシット (膝を90度に曲げた状態)

1点 = 10秒
2点 = 20秒
3点 = 30秒

Lシット (膝を伸ばした状態)

4点 = 10秒
5点 = 15秒
6点 = 20秒

フロントレバー

7点 = 5秒
8点 =10秒
9点 = 20秒
10点 = 30秒

 

4.持久力

最後は持久力です。このテストはとてもシンプルです。バーにぶら下がっていられる時間を測定するだけ。ただし、途中で片手ずつシェイクしたりしてはだめです。

 

【換算表】

1点 = 30秒
2点 = 1分
3点 = 1.5分
4点 = 2分
5点 = 2.5分
6点 = 3分
7点 = 3.5分
8点 = 4分
9点 = 5分
10点 = 6分

 

合計点と推定グレードの換算

全てのテストが終わったら、点数を合計して以下の換算表から、登れるグレードのポテンシャルを推計してみましょう。

 

1: 6a = 5.10a
2: 6a = 5.10b
3: 6b = 5.10c
4: 6b = 5.10d
5: 6c = 5.11a
6: 6c = 5.11a
7: 6c+ = 5.11b
8: 6c+ = 5.11b
9: 7a = 5.11c/d
10: 7a = 5.11c/d
11: 7a+ = 5.12a
12: 7a+ = 5.12a
13: 7b = 5.12b
14: 7b = 5.12b
15: 7b+ = 5.12c
16: 7b+ = 5.12c
17: 7c = 5.12d
18: 7c = 5.12d
19: 7c+ = 5.13a
20: 7c+ = 5.13a
21: 8a = 5.13b
22: 8a = 5.13b
23: 8a+ = 5.13c
24: 8a+ = 5.13c
25: 8b = 5.13d
26: 8b = 5.13d
27: 8b+ = 5.14a
28: 8b+ = 5.14a
29: 8c = 5.14b
30: 8c = 5.14b
31: 8c+ = 5.14c
32: 8c+ = 5.14c
33: 9a = 5.14d
34: 9a = 5.14d
35: 9a+ = 5.15a
36: 9a+ = 5.15a
37: 9b = 5.15b
38: 9b = 5.15b
39: 9b+ = 5.15c
40: 9c = 5.15d