Latticeのハングボードを購入/設置した話(Lattice Testing & Training Rung)

今回は管理人の自宅に新しいフィンガーボード(Lattice Testing & Training Rung)を設置したので、そのノウハウを紹介します。といっても、今回は、壁に直接穴を空けて据え付けていますので、賃貸住宅等で壁に穴を空けられない場合の参考にはなりません。そのような場合の設置方法は、以下の記事を参考にいただいたほうが良いです。

自宅の壁に穴を開けずに、クライミングのフィンガーボードを設置した | Mickipedia ミキペディア

ローリーバー(Rolly Bar)、Beastmaker2000設置 - やまーんの箕面ボルダリング日記

管理人の自宅には既にBeatmaker2000が据え付けてあり、自宅に2つもフィンガーボード付ける必要があるのかと自分でも呆れますが、Lattice Testing & Training RungはBeastmakerとは少し使い方が違うので、そのあたりを紹介したいと思います。 

Lattice Training Rungの特徴

負荷は指にかかる荷重だけで調整する

一般的なハングボードは、多様なホールディングのトレーニングができるように、一本指ポケット、二本指ポケット、浅いホールド、深いホールド、スローパー、ガバなど、限られたサイズのボードにたくさんのホールドがちりばめられています。

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一般的なフィンガーボードの例(Beastmaker2000)

それに対し、Lattice Testing & Training Rungは極めてシンプルな作りをしています。横方向の上段にガバのレールが一本と、下段に2cm厚のフラットホールドのレールが一本、これだけです。

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このようなシンプルな作りになっているのは、トレーニング刺激を変化させるための考え方が、一般的なフィンガーボードと異なっているためです。

Lattice Testing & Traing Rungを使用したトレーニングを行う際に、合わせて使用するのが望ましいものがプーリーシステムです。プーリーとは滑車の事です。プーリーシステムを使用して、指にかかる負荷を細かく調整します。


Lattice Training: Fingerboard Routines

例えば、10秒ぶら下がるのが限界くらいの負荷を指にかけたい時に、体重そのままでぶら下がると3秒しかぶら下がれないというような時、ハーネスを装着してプーリーを介して重りをぶら下げる事で、体を上方向に引き上げる補助力を得ることができます。(反対に負荷を増やしたいときは、プーリーを使わず、ただハーネスに重りをぶら下げるだけです。)このように、ポケットの幅やホールドの奥行きは一切変化させず、指にかかる荷重だけを変化させるのがLattice Testing & Training Rungの考え方です。

このような負荷調整方法のメリットは、調整するパラメーター(変数)が指にかかる荷重のみとなるので、多数のクライマー間でデータの比較評価がしやすいことと考えられます。データドリブンなクライミングトレーニング(Lattice Training) - May the friction be with you! で述べた通り、シンプルな測定方式を標準化して世界中から様々なクライマーの基礎数値(身長、体重、性別、クライミンググレード、保持力)を収集し、解析結果をLattice Training社が提供するトレーニングサービスのバッググラウンドデータとして活用することで、最適なトレーニングプランを提供することを目標としているのです。

Lattice Trainingが提供するアセスメントは、Lattice Testing & Training Rungを使用することが前提となってます。指が治ったら管理人も挑戦してみようと思います。

保持面のサイズ

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Lattice Training Rungの保持面サイズ

保持面のサイズは、製品サイトでは20mmと、なってますが、上図の通り、アールの先端まで込みで20mmとなってますので、フラット面は10mm程度です。そのため、20mmエッジという割には、かなり保持感は悪い印象です。アールの半径10mmというのは、Beastmakerよりもかなり大きく、角が当たることによる指の腹側痛みは殆ど感じません。

なお、Beastmakerのアールは数mmですが、普通に使う分には全く気になりません。敢えて、Lattice Testing & Training RungがBeastmakerより大きくアール半径をとっている理由は、指皮のコンディション等に測定結果が影響を受けるのを少しでも避けるためのようです。LatticeのデータアナリストRemus KnowlesとLatticeの共同創始者であるTom Randallは、Lattice Testing & Training Rungの開発時に、エッジの立ち具合によっては、指皮のコンディションが良くない時には想定より短い時間しかぶら下がれないといった事象があり、最適なエッジのアールサイズを調整したといったような話を、対談で語っています。


Lattice Training Podcast Ep. 1 - Remus Knowles

 
購入方法

売店

2020年9月現在、日本国内で販売代理店は無いようですので、個人輸入することになります。Lattice Coaching & Trainingのページから以前は直販できたのですが、なぜか対象商品に表示されなくなっているので、管理人はEpicTV shopから購入しました。

本体の値段

43.75£(ポンド)で、今のレートで6000円くらいです。Beastmakerは1000も2000も80£(≒11000円)ですので、作りがシンプルな分Lattice Training Rungの方がかなり安い値段になってます。

送料/期間等

9/2(水)に注文して、9/7(月)には受け取り可能になり、配送日変更して9/9(水)に無事受け取りました。特に急ぎ指定等はしていませんが、EpivTVは基本はDHL社の航空便になるようです。配送料は13.44£(ポンド)なので、今のレートで1800円ちょいくらいといったところですね。

設置について

設置場所

設置場所は、クライミングホールドを取りつけている傾斜天井の側面垂壁です。ここも構造合板が貼ってあればよかったんですが、残念ながら石膏ボードの上にクロス張りです。そのため、下地チェッカーで石膏ボードの裏に柱がある場所を確認して設置しました。

 

 

Lattice Training Rungは6点をビス止めするようになっており、下穴が空けてあります。しかし、今回は柱の位置が少しだけ下穴位置からずれている場所に設置したかったので、苦肉の策で、Rungに2か所新たに穴を空けました。強度的には、下穴の位置で固定した方が望ましいんでしょうが、ぶら下がってみた感じは問題なさそうなので、当面この状態で運用してみるつもりです。

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実際の設置位置

設置にあたっての注意点

指にかかる負荷を調整するため、プーリーをセットできる支点は、Lattice Testing Training Rungのちょうど真ん中から真下に設置するのが望ましいです。両手でぶら下がって、プーリーを介して負荷を調整した際に、プーリーの位置が左右に偏っていると、体がその向きに引っ張られて、フォームが崩れるのと、指にかかる負荷が微妙に左右均等にならないためです。今回は、プーリー設置用のカラビナが既にあり、その位置とビス位置の関係上、真ん中から真下に設置することができませんでした。機会があったら、改良したいところです。

 

(2020/9/26追記)

壁裏の柱位置を確認すると、右端に柱があったので、先にワンバイ材を設置してからLattice Testing Training Rungを設置するように改良しました。これで、両手でぶら下がる際に、体の真ん中にプーリーが来るように位置を調整することができました。

同時に、ラングをノコギリでカットして、 ワイドレンジで懸垂できる幅の位置にもラングを設置しました。どこで切っても形状が同じだし、材料が木で簡単に加工できるので、いろいろ工夫できますね。

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