2021年の振り返りと2022年の目標

2022年になりましたので、昨年の振り返りと合わせて、目標設定を行っておきます。秋冬はずっとクライミングシーズンなので、年末年始を挟んでもやる事はあまり変わらないのですが、区切りをつける意味を込めて。

2021年の振り返り

2021年のトレーニングやクライミングの経過は、数ヶ月ごとに記事にまとめていました。

1月〜3月

4月〜8月

9月〜12月

詳細はそれらの記事に記載したので、今回は目標達成状況だけサラッと振り返ります。

2021年の目標は以下2点でした。どちらも目標達成できたと捉えています。

  1. 怪我の完治
  2. 岩場での二段完登

1点目は、長く苦しんだ指の故障にひと段落をつける事ができました。岩場で、痛みを気にせず、本気でトライできるようになり、大変満足しています。秋のシーズンになって、新たに少し肘を痛めてしまいましたが、大きく悪化しなかったのでよかったです。

2点目は、秋のシーズンに、何本か二段とグレーディングされた課題を登る事ができました。グレードが不確かな課題もありますが、合わせ技一本という事で良いかなと捉えています。

二段というグレードの課題が登れたのはおよそ7年ぶりで、子供が生まれる前のベースラインに遂に戻る事ができました。

岩には概ね平日に半日休を取るか、休日の午前中に行きました。休日は、以前ですと、私が一人で外出するのを子供が極端に嫌がるので、なかなか行けませんでした。しかし、子供もだんだん分別がついてきて、土日のうちの半日くらいなら、外出を渋々受け入れてくれるようになったので、だいぶ岩に行く時間が捻出しやすくなりました。

2022年の目標

2022年は一言で言うと、一撃で登る能力を向上する年としたいです。

具体的には、以下の3点を目標にします。

  1. 岩場での二段の完登
  2. 岩場での1級のフラッシュ
  3. 岩場での5.11cのオンサイト

ボルダーの難易度追求は、現状グレードで経験を広げる

1点目はボルダーの難易度追求です。今年は無理せず、昨年と同じグレードの再登を目標とします。

ボルダーの実力は、全てのクライミングの基本なので引き続き追求していきたいところです。しかし、2022年は45歳になり、1年で1グレード上げるのは、あまり現実味が感じられません。そこで、同じグレードを何本か登って経験を積むことを目標にします。

一撃で登れるグレードの底上げを目指す

2点目、3点目は、何度もトライして登る限界グレードではなく、一撃で登るグレードの底上げを目指します。

2点目に挙げた岩場でのボルダリングにおけるフラッシュは、今まで余り意図的に狙ってトライした事がありませんでした。個人的な趣味嗜好の話で、ボルダリングにおいて一撃で登るということに、それほど興味がないのが理由です。

しかしながら、ボルダリングに比べてリードクライミングは時間がかかるので、なかなか行く機会がありません。気づいたら、もう何年も岩場で一撃にこだわったクライミングをしておらず、勘が鈍っている気がします。ボルダリングであっても、緊張感を持って一撃を狙っていく経験を積むのもよいかと思い、目標に入れてみました。

岩場でのリードクライミングへの復帰

3点目は、子供ができてからなかなか行けていないリードクライミングに少しずつ復帰するための取っ掛かりと考えています。ハードなレッドポイントもやりたいですが、通いこむ時間を確保するのは現実的では無さそうです。そのため、手っ取り早く決着のつくオンサイトクライミングを中心に取り組みます

岩場でのオンサイト最高グレードは5.11cなので、そのベースラインに戻す事を目標にします。最後に登ったのは小川山の屋根岩一峰にある「河」で、もはや2014年までさかのぼります。リードクライミング自体も、2015年に子供が生まれてからは、御前岩に一回行ったきりです。勘を取り戻しながらになるので、ベースラインに戻すだけでも充分高いハードルになる筈です。

2022年の全体スケジュール

ライミングに集中する期間とトレーニングに集中する期間のメリハリはつけたいので、それほど綿密なスケジュールではありませんが、目安的に全体スケジュールを作成しています。

f:id:takato77:20220103100553j:plain6月〜9月はシーズンオフと捉えて、レーニングに集中。それ以外の期間は、岩でのクライミングを主目的に置きながら、緩やかにクライミング能力を向上できるように計画します。具体的には、2ヶ月トレーニングして1ヶ月緩やかにテーパリングする形で、調子の波をつけていくつもりです。

グレードは目的ではないが、指標・目標として機能する

目標としてはグレードの数字だけ羅列しましたが、もちろん具体的にトライしてみたい課題は念頭にあります。それらを目標に設定してもいいのですが、なかなか予定通りにトライするのは難しいものです。岩の行き先は、気温や天候などの条件によってちょくちょく変わります。また、仕事やプライベートの状況が大きく変わって、調子のピークと岩場のピークが合わない事もあります。

仮に目標の課題を1つだけ決めておくとすると、年単位で捉えても、打ち込むだけの機会が充分に得られずに終わる事もありえます。そのため、目標としてはグレードを設定しておき、課題はその時々の条件に合わせて選ぶやり方がフレキシブルで気に入っています。

自分にとって、グレード自体はクライミングの目的ではありません。つまり、グレードを上げるためにクライミングをしているわけではないということです。一方、登りたい課題は山ほどあり、それらの多くは今の実力だと登れる気がしないものばかりです。登れるグレードを向上させるのは、本来の目的である「登りたい課題を登る」ために必要な条件になります。

グレードは数字なので、指標・目標としてわかりやすいというメリットがあります。順調に進んでいるかいないかをチェック・判断するためのツールとしては、こんなに便利ものはありません。本来の目的である「登りたい課題を登る」事の達成に向けて、今後も有効に活用していくつもりです。

2021年9月〜12月の振り返り

2021年9月〜12月のトレーニングブロックが終わったので、実績をまとめておきます。今フェーズの計画のポイントは、「岩でのクライミングに集中する」ことと、「ノンリニアサイクルでトレーニングする」の2点です。概ね計画通りに進められたかなと思います。

 

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良かった点

岩で登りたかった課題を登る事ができた

今フェーズは、当初の予定通り岩でのクライミングに集中する期間にすることができ、以前から登りたかった課題も何本か登る事ができました。

 

10/18 背骨(初段) 榛名山金剛岩

10/31 田中君SD(二段)御岳

11/20 シークレットパラダイス(二段?)秋川

12/22 ファンタジスタ(二段?)湯河原

 

指や肩の痛みを気にせず、登りたい岩を登る事ができ、充実したシーズンだったと思います。言う事なしです。

背骨は20年前、田中君は15年前にトライしていて、登れなかったものです。それが40代半ばになって登れるようになった、というのは感慨深いものがあります。

 

 

また、今年最後に登った湯河原のファンタジスタは、登っている最中の姿勢が余り崩れなかった点に満足しています。ジムで意識して練習している基礎的な動きが、意識しない状態で自然と出るように、だんだんなってきている気がします。

 

 

 
 
 
 
 
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ノンリニアサイクルのトレーニング効果を確認できた

今フェーズの前半は、ストレングスの日・パワーの日・持久力の日を繰り返す「ノンリニアサイクル」で行いました。ノンリニアサイクルは初めての経験でしたが、全体的には、自分に合ったトレーニングサイクルだったと感じています。

基本的な流れは以下のような感じで、これを8回繰り返しました。

  • ストレングスの日 : 自宅で高負荷の筋トレ
  • パワーの日 : ジムや岩での高強度のボルダー
  • 持久力の日 : ジムで低強度のボルダーをたくさん登る

個人的に良いなと感じたのは、持久力の日が間に入ることで、体への負担を大きく上げずにクライミング量を増やすことができたことです。以前は、週に3日トレーニングするとしたら、3日間全て高強度のボルダーをやっていました。そのやり方だと、筋肉の疲れは回復しても、腱や靭帯の回復が追いつかず、故障につながっていたように思います。ノンリニアサイクルの場合、持久力の日は体の負担が少ないです。一方、量はたくさん登るので、クライミング動作の練習になるし、しっかりクライミングした満足感も感じられます。

また、開始前後で行った体力測定数値は、概ね上がっていました。まだ1サイクル回しただけなので、確実にトレーニング効果が得られているとは言い切れないですが、少なくとも、もう数サイクル回してみる価値はあるかな、という印象です。

体力測定のやり方は、前回の記事で紹介したやり方で行っています。

10月下旬からはトレーニング負荷を減らした(テーパリング)

当初は、年末までもう1回、ノンリニアサイクルを回す予定でした。しかし、少し疲れが溜まってる感じがありました。具体的には、以下の症状です。

  • 眠りが浅く、夜中に2〜3回目が覚める
  • お腹を壊す事が多くなる

ちょうど岩でのクライミングに集中したいシーズンに入ることもあり、トレーニング負荷を減らすことにしました。

レーニングのやり方はノンリニアサイクルで変更ありませんし、強度も変更ありません。減らしたのは、それぞれの日毎のトレーニング量で、大体半分程度の量に減らしました

疲労の症状的には、12末時点でだいぶ改善しています。夜中に起きることが減り、お腹の調子も安定しました。岩でのパフォーマンスもよかったので、うまく負荷を減らす事ができたように感じます。

競技スポーツにおいて、本番の試合にパフォーマンスをピークに持ってくるために、試合前の一定期間トレーニング量を減らすことを、テーパリングと言います。クライミング関連書籍では、クライマーズバイブルロジカルプログレッションでも紹介されています。それらを見ると、テーパリング期間は1〜2週間が一般的なようです。今回はトレーニング量を減らした期間は2ヶ月以上で、少し減らし過ぎたかもしれません。まだ岩場のシーズンは続くので、テーパリングのやり方も、何回か実験してみるつもりです。

パワートレーニングとしてのクライミングを行うことができた

前フェーズで指のリハビリがひと段落したので、あまり体の痛いところを気にせずに全力でクライミングできたのは嬉しかったです。そのおかげで、ジムや岩場でのマックス強度に近いボルダリングを行う事ができ、パワーをしっかり鍛える事ができた感触があります。

パワートレーニングは、高強度かつ高スピードな動作で行うのがポイントです。なので、疲れて高強度・高スピードが維持できなくなったら、それ以上続けても意味がありません。そのため、量をやり過ぎないように、あらかじめ本数を決めてトライするようにしました。具体的には、ジムではオンサイトできるかできないかのグレードの強傾斜課題を6課題選んで、全部で12トライするというやり方で行っています。人によって、最適な課題数は異なると思いますが、私の場合だと、それ以上やるとパワーが落ちる感じがしました。

 

 
 
 
 
 
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また、今フェーズは傾斜のあるパワフルなボルダーをトライする事が多かったので、岩で登った日もパワートレーニングの日とカウントしました。しかし、岩でのクライミングは、登る事自体が目的なので、トレーニング効果はおまけみたいなものとして捉えていました。

 

持久力トレーニングの日にスキル練習の時間もしっかりとれた

持久力クライミングをする日にスキル練習もする、というルーティンが出来上がったのもよかったところです。だいたい、前半30分から1時間でウォームアップ+スキル練習(4級まで)、後半45分で持久力クライミング(Low Load Density)という流れです。

持久力クライミング自体も、易しい課題をたくさん登るので、いいスキル練習になります。しかし、制限時間内で数をこなすトライをしていると、気になった動きをやり直してエラー修正する事はやりづらいです。そのため、この時間はスキル練習をすると明確に決めて、トライを動画に撮って見直して、意図した動きになっていなければ修正をするようにしました。

スキル練習をしていて気づいたのは、初見のトライをエラー無しで登れるのは、自分の場合6級までという事です。エラーというのは、例えば肩がすくんだり、脇が締まっていなかったり、体の軸が横に流れたり、みたいな事です。5級になると大抵1〜2ムーブ、4級だと半分くらいのムーブでエラーが出ます。スキル練習では、同じ課題をエラーが出なくなるまで繰り返し登るようにしました。

悪かった点

肘の痛みは完治せず

8月のイベント「サマーキャンプ」に参加した後くらいから、左肘の内側が痛くなりました。かなり前から慢性的に痛めていて、ここ数年は落ち着いていましたが、また痛くなった感じです。

ストレッチやコンプレフロスでセルフケアして、だいぶよくなりました。しかし、ムーブによって痛い時があります。休むべきか、このまま徐々に治せるか、悩ましいところです。

お尻を打撲して1週間強制レスト

非常に恥ずかしいのですが、ファンタジスタをトライしている時に、左のお尻を岩に強打してしまいました。幸い骨には異常なしで、1週間のレストで復帰しています。本当は年末年始に1週間レストして体を休めようと思っていたが、12月なかばに前倒しで強制レストになってしまいました。岩で、マットを外して尻から落ちるというのは、安全管理が全くできていないという事で、反省しかありません。

 

保持力だけではなく、色々な体力要素を定期的に測定する

以前、9c climbing ultimate testという、クライミング能力を推定する体力測定を紹介しました。これはどちらかというとお遊び的な要素が強く、測定部位も上半身に特化していましたし、腕試し的にやるだけで、継続的に測定している人もいないのではと思います。

今回紹介するのは、より実践的な体力測定です。定期的に測定する事で、クライミングに必要な体力要素が向上しているのか、はたまた停滞もしくは退化しているのか、網羅的に確認する事ができます。本ブログでは何度も紹介している、Steve Bechtelの著書「ロジカル・プログレッション」からの紹介です。

体力数値を定期的に確認するメリット

成長を実感するモチベーションになる

ライミングを始めたばかりの頃は、ジムや岩場に行くたびに、登れる課題のグレードが上がっていった覚えがあるでしょう。誰でも最初は、クライミングに必要なスキルと体力が低い状態からスタートします。そのような状態は、伸び代がたくさんあるので、短期間でどんどん成長していきます。

しかし、クライミングを続けていると、程なくして成長が頭打ちになります。プラトーと言われる状態です。当然、登れる課題のグレードなかなか更新できなくなっていくため、グレードだけでは成長を感じにくくなります

ここからは、残った伸び代をかき集めて、地道に鍛え上げていくフェーズに移っていきます。日々のクライミングも、漫然と自分がやりたい楽しいクライミングだけではなくなっていくでしょう。そんな厳しいトレーニングを続けても、なかなかグレードが上がらなければ、モチベーションが下がって、つい惰性で、自分が得意で楽しいクライミングだけをやりたくなってしまうかもしれません。しかし、そんな領域はきっと、最も伸び代が少ない領域のはずです。

そんな時でも、体力的な数値を測定すれば、少なくとも体力的な要素は向上しているかどうか可視化できます。グレードがちっとも更新しなくても、個別の体力的な数値が向上しているのを見れば、厳しいトレーニングを継続するモチベーションにつながるでしょう。

置き去りにされてる体力要素がないか確認する

ライミングで重要となる体力的な要素は、なんといっても指の保持力です。最終的に壁に体を繋ぎ止めている部位は指なので、その保持力はもちろん重要です。

しかし、指だけ鍛えていればよいかと言えばそんなことはありません。しっかりとホールドを踏み抜く脚力、足から得た推進力をブレずに伝える体幹の安定性など。クライマーに必要な基礎体力の目安は、以下の記事にも簡単に紹介していますので参考にしてください。

また、純粋に重いものを持ち上げる能力(ストレングス)だけだはなく、瞬発的に力を発揮する能力(パワー)であったり、一定時間運動を続ける能力(持久力)といった観点も必要になってきます。

一定期間、弱点の改善に集中したり、新たなスキルの修得に集中していると、その他の基礎体力が低下してしまっているかもしれません。そんなとき、網羅的に体力を測定する事で、極端に体力が低下している部位や要素がないか確認できます。

ライミングにおける理想的な体力測定

それでは、具体的にどのような体力測定を行うといいのか紹介していきます。

この方法のポイントは、「ストレングス、パワー、持久力」と「指、上半身、全身」の組み合わせ(マトリクス)で測定するということです。こうする事で、クライミングに必要な体力要素の一部が極端に置き去りになっていないか、追跡することができます。

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Logical Progression流の体力測定マトリクス

測定項目のうち、デッドリフトとエアロバイクは、家では設備が揃えにくいと思います。フィットネスジムと契約していればいいですが、測定のためだけであれば、月単位の契約をするのはもったいないです。地域の総合運動場などに設備があれば、それを利用するのもよいでしょう。

ストレングス

ストレングスは、一度に発揮できる力を表します。スピードは遅くてもいいので、できるだけ大きな力を出すようにして測ります。

指:加重エッジハング

重りをハーネス等にぶら下げて、20mm程度のエッジにぶら下がります。7秒ぶら下がれたら、重りを増やして、限界となった重りの重量を測定しましょう。

上半身:加重懸垂

重りをハーネス等にぶら下げての懸垂を行います。あごがしっかりバーの上に出るようにして、3RM(3回で限界となる重量)を測定しましょう。

全身:デッドリフト

デッドリフトの3RMを測定します。デッドリフトは下半身だけではなく、広背筋や脊柱起立筋も動員するエクササイズなので、全身のストレングスを測定する項目として適しています。

パワー

パワーは、ストレングス×スピードです。自分の限界レベルの重いものを動かす際には、とてもゆっくりしたスピードになります。しかし、実際のクライミングでは、デッドポイントのように瞬発的に力を発揮する能力が求められます。

全身:垂直跳び

垂直跳びは全身のパワーを測定するよい種目です。壁に目盛を張り付けて測定してもいいですし、JumpPowerのようなアプリで測定する事もできます。

JumpPower
JumpPower
開発元:Sten Kaiser
¥120
posted withアプリーチ
上半身:スピード腕立て伏せ

パワーの測定なので、時間内に何回できるかを測定します。10秒間に何回腕立て伏せできるかを測定し、休憩を挟んで3回繰り返します。3回の平均値を記録しましょう。

腕立て伏せは、スピードを上げようとすると、腰を逸らせて反動をつけたりしがちです。目的は上半身のパワーの測定なので、正しいフォームで行うように注意します。

持久力

ストレングス、パワーに加えて、持久力もクライミングに求められる大事な体力要素です。指の持久力と全身の持久力を測定します。

指:エッジハングリピーター

20mmのエッジに、10秒ぶら下がって10秒休むのを繰り返す、シンプルな測定です。10秒ぶら下がれなくなったら測定終了で、10秒きっちりぶら下がれた回数を記録します。

全身:エアロバイク全力10分

エアロバイクを10分間漕いで、消費カロリーを記録します。10分間でどれくらい多くの運動量をこなせるかを測定するのが目的なので、10分後には疲労困憊している状態になる強度が理想です。強度を見定めるために、何度か試行錯誤が必要かもしれません。

体力測定は飽くまで目安

これらの体力測定は、体力という側面では、できる限り網羅的にクライミングに必要となる能力を測定できます。しかし、クライミングに必要なのは体力だけではありません。スキルやメンタルも同様に重要です。測定の数値を上げる事に集中して、スキルやメンタルを磨く練習が疎かになるなら、それは本末転倒です。

また、体力測定の数値は、疲労度合いにも影響を受けます。多少の数値の上下で一喜一憂する必要はありません。こちらのブログ記事が参考になります。

 

 

体力測定の数値は、おおまかに傾向を把握するツール、程度に捉えるのがよいでしょう。私の場合、今年の初めから計測を始めて、1〜2ヶ月毎に測定して記録しています。参考に、マトリクス上にグラフを貼り付けたものを貼っておきます。

 

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上がったり下がったりしながら、全体的になんとなく右肩上がりになってます。元々、基礎体力をつけることを大してやってこなかったので、まだ伸び代があるのが主な理由だと思いますが、いずれにしろ、数年単位で続けてみて、また振り返ってみるつもりです。

 

 

 

 

 

左手中指関節炎リハビリの記録(動注治療による痛み改善)

以前の記事で少し触れたとおり、左手中指の関節炎のリハビリが一段落しました。同じような症状に悩まされている方の参考になるかもしれないので、経過や対処した内容などをまとめておきます。

最初に言っておくと、クライミングするには支障ない程度まで回復したものの、世間一般的な基準から言うと、おそらく完治とは言い難いです。また、ほぼ個人的な感想に過ぎないので、実際に関節炎に悩んでいる方は、内容を鵜吞みにせずに、まず医療機関を受診することをお勧めします。

リハビリの経過(タイムライン)

およそ2年に渡った左指中指のリハビリは、大きく二期にわかれています。最初の一年は端的に言うと失敗で、痛みは殆ど引きませんでした。次の一年で、ようやく快方に向かった感じです。

 

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リハビリ第一期のまとめ

リハビリ第一期のポイントは大きく言うと以下の2点です。

  1. 左手中指のトラブルは、腱鞘炎と関節炎の2つあった事を認識
  2. 腱鞘炎は1ヶ月で治癒したが、関節炎は慢性痛になっており、一向に治らなかった

リハビリを開始したきっかけは、2019年9月にジムでクライミングしていた時です。カチ課題を登っていた時に、左手中指の腹側に痛みが出てきました。

近所の整形外科で診てもらったところ、ジムで痛めたのは「左手中指第二腱鞘の炎症」という診断でした。しかし、それだけではなく、「変形性指関節症」もひどいね、と言われました。これが2年間リハビリに費やした関節炎です。

 

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1ヶ月ほどクライミングを休んで、徐々に強度を上げながら再開しました。腱鞘炎は問題なく治っていたようで、指の腹側の痛みはなくなりました。しかし関節の痛みはと言うと、休む前と殆ど変わっていませんでした。

別のスポーツ整形外科を2件ほど受診してみましてが、同じように変形性指関節症と診断されました。クライミングを長く続けてきて繰り返し負荷がかかったことにより、骨が変形し軟骨もすり減っている状態です。軟骨は本来、指を深く曲げて負荷をかけた時に、ショックアブソーバーとなって負荷を軽減してくれます。それがすり減っているため、関節内の組織(関節胞)にクライミング中の負荷がダイレクトにかかって、慢性的に炎症を起こしているとの事でした。

第二期のまとめ

痛みのレベル

結局半年以上経っても、左手中指第二関節の腫れと痛みは改善しませんでした。この時の痛みのレベルはこんな感じです。

  • 安静時は痛くない
  • 固い平らなもの(テーブルなど)を、腫れてる関節でコツンと叩くと激痛が走り、30秒くらい痛みが残る
  • フルクリンプは痛すぎて全く握る気が起きない

正直、このままではトレーニングもままならないので、もう一度リハビリをやり直す事にしました。

ペインクリニックの受診

第二期にやった事で一番効果的だったのは、ペインクリニックの受診です。前々から気になっていた、関節炎の痛み改善治療を、表参道のオクノクリニックで受けてきました。

治療内容(動注治療)

オクノクリニックで提供している治療は、動注治療というもので、前腕の動脈への注射です。

どのように痛みを減らす効果が得られるのかについては、診察時に受けた説明やクリニックのHPから、理解した内容を以下に記載します。正確なところは、リンク先を確認して判断ください。

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ブシャール結節などの慢性的な痛みの原因は、「モヤモヤ血管」と呼ばれる異常な血管です。動注治療は、そのモヤモヤ血管を減らす効果があります。

繰り返し運動などの負荷をかけた部位は、回復するために充分な栄養と休養が必要です。その回復が不十分だと、中途半端に再生した異常な血管(モヤモヤ血管)が増えていきます。モヤモヤ血管の周辺には、神経も一緒に増えていき、痛みの原因になっている、という事のようです。

動注治療は、動脈から微細な粒子状の薬剤を注射します。それにより、モヤモヤ血管への血の流れが阻害されて、モヤモヤ血管を減らす事ができます。

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詳しくはリンク先を見てもらえればと思います。なお、保険外診療なので、それなりに高いです(クライミングシューズ2〜3足くらい。。)。

動注治療後の回復経過

痛みをなくすという意味では、劇的に効果がありました。感覚的には、注射から数日で、痛みは1/10くらいになり、日常生活では殆ど気にならないようになりました。

一方、クライミングのホールドを持つ動作をすると、前ほどではなかったものの、少し痛みがありました。やっぱり治ってないのかな、と暗い気持ちになりましたが、様子を見ながら少しずつ指にかける強度を上げていきました。

動注治療を行う前と大きく違ったのは、強度を上げていっても、痛みがひどくならなかったことです。例えば、10kgの負荷を指にかけて痛みがあっても、日を改めた次回もしくは次次回に同じ負荷をかけると、痛みを感じず、徐々に負荷を上げていくことができました。動注治療を行う前だと、同じように強度を上げていっても、一定の強度を超えると結局ひどく痛むようになってしまっていたので、大きな違いです。

オープンハンド、ハーフクリンプは、半年程度で全力出して登れるようになりました。その後フルクリンプのリハビリを始めて更に半年、トータルで結局一年かかりました。

動注治療の適用範囲

動注治療の目的は、痛みをなくす事のみです。既に進行しまっている、骨や靭帯の変形や損傷については、動注治療で治す事はできないです。

例えば、今回も指の可動域は戻りませんでした。今も十分に曲げ伸ばしはできません。また、激しく登った日には少し痛みが出ます。骨棘ができているのと軟骨がすり減っているので、強く負荷をかけると、多少腫れるのは避けられないということでした。

理想としては、関節炎の症状が出たら、慢性痛になる前に完治させてしまうのがよいです。それで治るなら、そもそもこのような治療を受ける必要がないわけですから。痛みがある時は無理せずに、しっかりと休養と栄養を摂りましょう。

しかし、既に長らく関節炎に苦しんでいて、慢性痛となっているクライマーには、動注治療は良い選択肢になる可能性があります。痛みを和らげる効果は劇的にありました。

リハビリの到達点

リハビリの到達点としては以下のようなものでした。

  • ライミング中に全力で握り込んでも、痛みを気にせず登れる程度まで回復
  • しかし、強度の高いクライミングをした日には少し腫れて痛みが出る。翌日には概ね回復。
  • 可動域は殆ど戻らなかった

できれば、指が十分に曲げ伸ばしできて痛みが完全に無くなるのが理想でしたが、そこまでは到達できませんでした。20年余のクライミング歴を通して、ろくにケアをしてこなかったツケなので、致し方ないと思っています。関節痛を抱えるクライマーの方は、どうかこの事例を反面教師としていただき、早めのケアを行うようお勧めします。

 

 

 

 

 

 

ワイドボーイズによるジャミング強度の実験

ワイドボーイズとして活動しているクラッククライマーのトム・ランドールとピート・ウィタカーが、面白い実験をしていたので紹介します。色々なジャミングについて、何kgの加重に耐えられるかを測定するものです。

クラッククライミングをやった事がない人にも、ジャミングがどれくらいの強度を持ったホールディングなのか、数字でイメージできると思います。(クラッククライミングをやる人には、当たり前の結果かもしれません。)

実験内容

実験は、クラックを模したホールド(板2枚を組み合わせて幅を調整可能にしたもの)に、デジタル計測できるバネばかりを付けて、思い切り引っ張るという単純なものです。動画を見てもらえれば一目瞭然です。


www.youtube.com

実験対象のクラックのサイズは、指先がかかるくらいの細いフィンガー、普通のフィンガー、リングロック、シンハンド、ハンド、フィストの6種類となってます。シンハンド、ハンド、フィストについては、何も装着していない場合と、ワイドボーイズブランドで新発売されたクラックグローブを装着した場合の2パターンで検証しています。

実験結果

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実験結果は上の表のようになってました。全て、片手で行った際の数値です。こうして数値化されると、いろいろ感覚的に理解していたつもりの事も明確にわかり興味深いです。いくつか気になった点をピックアップして以下に記します。

ハンドジャムの圧倒的な強力さ

あらゆるジャミングの中で最も強力なハンドジャムは、やはり圧倒的な強度が出ていました。ジャミンググローブをしていない状態でも、トムもピートも70㎏以上の数値が出ており、片手で余裕で足ブラになれることになります。

このような感覚は、クラッククライミングをよくやるクライマーにとっては、比較的なじみ深いです。しかし、クラッククライミングをやらないクライマーの中には、コンペなどでハンドジャムの課題が出てきたのを見ても、どのくらい効くのかイメージが湧かない人もいるんじゃないでしょうか。

マイリンゲンのWCで、ハンドジャムを決めて観客を煽っていたアダムの気持ちが少し理解できるかも?


www.youtube.com

シンハンド、フィストの強度がかなり高い

シンハンドは、個人的にはかなり決めにくいジャムという印象でした。しかし、この実験結果だと、40㎏以上の強度が出ています。足がきちんと踏めていれば、多少傾斜があっても、スタティックに手を出していくことも可能そうです。

また、フィストについては、ジャミンググローブを装着した場合、70㎏以上の強度が出ており、片手で足ブラが可能な数値です。下がすぼまったクラックに決めるボトミングで決めるフィストならば、それくらいの数値は出そうです。しかし、パラレルなクラックに決めるフィストでここまでの強度が出るのは意外でした。

グローブによるジャミング強度の変化

シンハンド、ハンド、フィスト全てにおいて、ジャミンググローブを装着した方が、10~30kgくらい強度がアップしていました。クラックグローブは、手の甲の保護といった目的以外にも、明確にジャミングの強度がアップする効果がある事がよくわかります。

リングロックの強度はやっぱり低い

ワイドボーイズの2人によるリングロックの強度の平均は18.5㎏でした。両手ともにリングロックを決めても、18.5×2=37kg程度で、足ブラにはとてもなれません。ワイドボーイズの2人をもってしても、強度の出しにくいジャミングであることがわかります。

実は以前に似たようなやり方でリングロックの強度を測ったことがあり、その際の結果は17.5㎏で、ほぼ同じ数値でした。プロと素人で差が少ないということは、あまり筋力とかは関係なく、テクニックが習熟すれば構造上同じような強度に落ち着くジャミングなのかもしれません。

 

takato77.hatenablog.com

 

また、トム・ランドールは手が薄いようで、リングロックと同じ幅のクラックに、シンハンドを決めた場合の実験も行なっていました。シンハンドの方が、リングロックの倍以上の強度が出ています。個々人の手の構造によりますが、シンハンドが決まるなら、リングロックよりシンバンドを決めた方が強度が出るようです。

 

2021年4月~8月の振り返り/9月~12月の計画

今回は個人的なトレーニングとクライミングの記録です。

こちらの記事で立てた4月からのトレーニング計画について、実績を振り返ります。また、その反省点をふまえて、年末までの計画も立てています。

4月~8月のトレーニング/リハビリ状況

 

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今回のトレーニングフェーズでは、もともと計画していた体力トレーニング(ストレングス、パワー、エンデュランス)については、それぞれの期間やメニューを計画通り完遂できました。一方、岩でのクライミングや、ジムでのイベントに集中したい時期が一定期間あったので、その期間は個々の側面に特化したトレーニングを休止しました(図中オレンジ色の「ノンリニア」という期間)。そのため、当初は7月で完了予定でしたが、1か月程期間を延ばしました。

以下、全体を振り返ってみて、良くできた点と、改善が必要な点をまとめておきます。

良くできた点

ライミングの頻度を増やすことができた

指のリハビリ中はクライミングの頻度を減らし、ウェイトトレーニングやハングボード中心でしたが、今フェーズはジムでも岩でもできるだけクライミングに行くようにしました。回数としては、ジム19回、岩16回、時間にすると約70時間。クライミング以外の体力トレーニングの時間は約40時間。体力トレーニングとクライミングの割合は、前フェーズの44対56から、36対64まで改善しました。目安の25:75ルールまであと少しです。

岩は御岳によく通いました。家庭の事情で、当面のところ、土日に岩場に行ける機会は少ないです。そのため、平日の半日有休などでサッと行ってこられる岩場があるのは助かります。約20年前にクライミングを始めた当初から通ってますが、苦手な保持力が求められる課題が多く、手をつけただけで登れていない課題ばかりです。今フェーズは、長年の宿題だった課題を2つ登ることができて満足しています。

 

 
 
 
 
 
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御岳の他には、こーへーさんがトライ中のボルダーを紹介していただき、一緒に遊びました。まだホールドが安定しない岩を、あーでもないこーでもないと試行錯誤してムーブを探るのは久しぶりで充実しました。

 

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ライミングフォームを意識した練習ができた

ライミングの頻度を増やすと同時に、内容もクライミングフォームの練習をできるだけ行うようにしました。

1度登れた課題でも、動画に撮って見返してみると、大抵想像と違って、何か所かは崩れた登り方になってます。このような無意識なフォームの崩れは、完登した課題を繰り返し登って研ぎ澄ましていかないと、なかなか改善しないことが実感できました。

また、持久力トレーニングとして行った、低強度のボルダーをできるだけたくさん登るLow Load Densityも、フォームを意識しながら行うことで、よい練習になりました。

 

 
 
 
 
 
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7月には、基礎錬のメッカ「ロックビーンズ」にも、初めて訪問することができ、足腰がしっかり使えないと登れないボルダー課題を存分に堪能しました。 

 

 

持久力が向上した

レーニングフェーズの開始前と終了後で、手指の保持力について、持久力測定を行っています。20mmのエッジに10秒ぶら下がって10秒休むのを何回繰り返せるか、という単純な測定です。トレーニングフェーズ開始前は3回だったところ、終了後は5回まで向上しました。

エンデュランスフェーズで、Low Load Densityを集中して行ったので、主にその効果と思いますが、ストレングスフェーズのトレーニング(3-6-9ラダー)で保持力も向上しているので、その合わせ技かもしれません。

 

指のリハビリが概ね完了

レーニングフェーズ開始前は、左手でフルクリンプすると、中指の第二関節にかなり痛みがありました。少しずつ負荷をかけていくことで、20mmのハングボードにぶら下がっても痛みが出ないようになりました。

しかし、激しく登った日には少し痛みが出ます。整形外科も何度か受診しましたが、骨棘ができているのと軟骨がすり減っているので、強く負荷をかけると、多少腫れるのは避けられないという診断でした。これ以上の改善は難しそうなので、痛みが出たら悪化しないように早く休むようにします。

 

改善が必要な点

左肘の内側に違和感が出た

今回のトレーニングフェーズは概ね順調に進みましたが、唯一失敗したと感じているのは左肘内側に若干違和感が出ていることです。これは、8月の最後にクライミングイベント「サマーキャンプ」に参加した後で気づきました。4か月のトレーニングで疲労が蓄積しているところへ、強度高めの課題に多くトライするイベントに参加(しかも中2日で2つ)したので、オーバーワークを反省しています。

 

9月~12月のトレーニング計画

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8月までのトレーニングブロックを終えた後、ちょうどコロナウィルスのワクチン接種を行う予定があったので、1週間レストしました。レストを終えて、9月からのトレーニングブロックを開始しています。

9月以降は、今年の目標を達成すべく、実際のクライミングに集中する期間と捉えています。そのため、体力トレーニングは、現状維持を目標とします。

8月までは、ストレングス/パワー/持久力をそれぞれ1か月程度のブロックに期分けするブロックプログラミングでやってきました。9月からは、ストレングスの日・パワーの日・持久力の日を繰り返す「ノンリニアピリオダイゼーション」に変更します。

ノンリニアピリオダイゼーションは、クライマーズバイブルではDUPサイクルという名称で、「数週間~数か月、ピークに近い状態をキープすることができる方法」として紹介されています。一方、Logical Progressionでは、中級者までは上達が見込めるトレーニングサイクルとして推奨しています。今まで、長期間ノンリニアピリオダイゼーションを行った経験が無いので、今回行ってみて、実際に体力がどのように変化するのか(もしくはしないのか)についても、測定してみるつもりです。

体力トレーニンについては、今まで行ってきて感じていたのが、もう少しトレーニングメニューをシンプルにしたいということです。そこで、今回はレーニングメニューを断捨離します。

具体的には、メインとなるコンパウンド種目(スクワット、デッドリフト、プレス)+ハングボードにメニューを絞ります。カーフレイズ、アブローラー、ハンギングレッグレイズはメニューから外すことになりますが、これらの補助的なメニューをやる前に、基本的な体力強化を優先するようにします。

また、懸垂については、左肘の違和感があるので当面お休みします。左肘が悪化するようであれば、今フェーズの計画は無理せず、リハビリにシフトするつもりです。

 

 

 

 

クライミングイベント「Summer Camp 2021」に参加した感想【後編】

前回の記事「クライミングイベント「Summer Camp 2021」に参加した感想【前編】 - May the friction be with you!」の続きです。

 

今回は「Summer Camp 2021」のマスタークラスに、MABOOで参加してきた際の記録と感想です。

 

 

イベント形式

イベント形式はクライムパークベースキャンプ入間店での形式と概ね同じです。MABOOでは、会場の広さの関係上、8/13~8/24の期間はマスタークラスとエキスパートクラスのみの課題がセットされていたため、その点が異なります。

課題数とトライ時間

必須課題

各クラスそれぞれ15課題あり、90分間で登るのは変わりません。

ルーキーとミドルのクラスが無いので、必須課題の総数は20課題と少なくなっており、10課題を両方のクラスで共有しています。

  • マスター 11~25番
  • エキスパート 16~30番

選択課題

選択課題も確か全部で20課題(31番~50番)だったと思います。ぶっちゃけ、半分以上は触りすらしなかったのでよく覚えていないのが正直なところです。その中から10課題を自由に選択して登ります。トライ時間は60分です。

トライ結果

必須課題

  • 完登 6課題
  • ゾーンのみ 2課題
  • ゾーン未到達 7課題

課題番号が小さい順(おそらく難易度も易しい順)にトライしていきました。21~25番はトライに至らず、11番~20番の10課題を繰り返しトライ。トライした課題の体感グレードは、ボルダリング検定のグレード感で言うと、一番易しい課題が4級くらい、残りは2~3級くらいでした。ベースキャンプのミドルクラスでも、マスタークラスと被っている課題をトライしていますが、それと比べるとMABOOは難し目に感じました。

選択課題

31~34の4課題が完登、その他はゾーン未到達という結果でした。こちらも体感グレードは必須課題と概ね一緒です。

能力測定結果

後日、以下のチャートが送られてきました。

 

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ミドルと反対で、コーディネーションが得意という評価になりました(笑)。それはあとで考察するとして、その他にはパワーが不足しているという評価となりました。ミドルレベルでは課題として表れてきませんでしたが、マスターレベルの課題の強度になってくると、真っ向勝負するパワーが不足しているということかもしれません。

イベントに参加して感じたメリット

多彩な課題に触れる事で、真に不得意な側面に気づく事ができる

本イベントは完登数とゾーン数だけが評価の材料になるので、評価の正確性には限界があります。たとえば、今回ミドルではコーディネーションが苦手、マスターではコーディネーションが得意という評価になりました。このような事が起きるのは、ある程度しょうがないでしょう。同じ完登でも、トライ数によって得手不得手の評価は変わるでしょう。また、コーディネーション能力を評価したい課題でも、想定と違ったスタティックムーブで登られてしまうなんてこともありそうです。

一方、イベントでは非常にバラエティに富んだ課題に多数トライする事ができます。そのため、評価結果の数字だけでは見えてきませんが、個々の課題レベルで振り返る事で、真に不得意な側面に気づく事ができます。

今回、自身のクライミングについて気づいた点を以下に書きとめておきます。

  • 横っ飛びのダブルダイノが苦手

ミドルではダブルダイノの2課題が登れませんでした。一方マスターでは3課題のダブルダイノが登れました。登れなかった課題に共通しているのは、2つとも、手と足の連動で大きく距離を出して横に飛ぶダブルダイノだったということです。上方向に飛ぶダブルダイノは問題なかったので、横に飛ぶ際の体の動かし方に何か欠点があるのかもしれません。

  • スラブについたハリボテを走るコツ

ミドルクラスが終わった後、コーディネーションが苦手過ぎると思って反省し、楢崎智亜くんのコーディネーション講座の動画を見返しました。以前この動画は見た事がありましたが、実際にコーディネーション課題にトライした直後に見直すと、あまり実践できてなかったです。特に、「④前後の動きを意識する」は、すっかり忘れてました。マスタークラスで前後の動きを意識するようにしたら、スラブのハリボテを走る課題が明らかに楽になってびっくり。

 


www.youtube.com

 

  • 緩傾斜のムーブ解読力が足りない

個人的にはムーブの解読力に自信がありました。しかし、緩傾斜についてはムーブの蓄積が全然足りてなかったようです。今回、スラブやコーナーの課題でムーブ解読に手間取り、見当違いのムーブで無駄トライを重ねてしまいました。

意図的に緩い傾斜の課題にトライする機会を増やして、いろいろなパターンに慣れる必要がありそうです。